9.タオスプエブロと山越え
 
タオス・プエブロはサンタフェから北へ1時間半ほど走った所にある。

プエブロにはいると丸みを帯びた土色の建物が建ち並び、まるでタイムスリップしたようだ。
プエブロの人達は、それら古くからの建物を補修しながら現在でもそこに住んでいる。

中心となる建物はかなり大きく、3階ぐらいあるようだ。

1階には、おみやげ物やインディアンジュエリー、伝統工芸品などを売る店があるので中に入る事ができるが、それ以外の住居部分は当然立入禁止となっている。

プエブロの中心は広場、そしてその真ん中を小川が横切っている。

広場ではインディアンの子供達が遊び、素朴な手作りの料理を売る出店もある。

土で造った小さなかまくらの様なのもをいくつも見かける。これは、パンを焼く窯のようだ。

プエブロには沢山の観光客が訪れているが、それでも村全体は静かで、落ち着いた雰囲気に包まれている。

おみやげやの店先には、のんびりとドリームキャッチャーを編むおじさんがたたずみ、遠く、村の片隅からは、陶器を焼く土をふるう音が、ゆっくりしたリズムでひびいてくる。

サンタフェにいたサントドミンゴ・プエブロ人達同様、ここの人達もお土産屋のしつこい客引きなどしない。

私がインディアン・ジュエリーを買った店のおじさんも、こちらが商品を決めるまでは静かに見守っていた。

買うときに話しかけると、愛想良く応じてくれ、私が日本人だとわかると、”じゃあ、あんたもインディアンだねぇ”なんて事を言っていた。

タオス・プエブロでは、観光客を受け入れながらも
昔ながらの生活を守っている。


表面は硬め、中はふわふわのパン。
このほか、蜂蜜をかけて食べる、
フライ・ブレッドなども売っている。

タオスは私たちの旅の折り返し地点でもあった。

タオスを出たあとは西に進路を取る。

この日の宿泊予定地は未定のまま、R64を行ける所まで行こうと走り出した。

R64はハイウエイではないのでスピードは出せないが、変化に富んだ景色が楽しめる。

タオスを出てすぐ、リオ・グランデ河を越える橋に差し掛かる。ここの渓谷は大迫力!

巨人がナタでもふるったかの様な、切り立った断崖の遙か下方にリオ・グランデ濁流が恐ろしげに流れる。

橋のたもとには駐車スペースがあり、歩いて景色を楽しめる様に配慮されているが、怖くて周りを見ながら歩いたりは出来ない。

ひたすら足元だけを見て橋の中央を目指す。

高所恐怖症のマルちゃんはわずか5mでリタイア。

アイちゃんは、ちょっと体に触れただけでも、「俺にさわるな〜!!」と叫ぶ始末。
男もこうなると情けない。。
その後も西に向かってドライブを続けると、岩だらけだった景色の中にぽつぽつと針葉樹が見え始め、道にカーブが増えてきた頃は、あたりはすっかり山の景色となる。

気が付けば、木々の間にはひっそりと残雪さえ残っている。

しかし、小さな残雪に驚いている場合では無かった。

みるみる間に、雪が深い緑の森を覆い隠し始め、春の陽にちらちらと光る幻想的な雪景色が目の前に広がった。

白くなだらかな起伏が連なり、ケーキの飾りのような木が所々顔をのぞかせている。

ロードマップで方向は確かめても、標高など気にしていなかった私たちはびっくり。

半袖にふるえながらも、外に出て雪に触らずにはいられなかった。

       
Carson National Forest の雪景色


山の夜道は鹿やウサギの飛び出しに注意
山を下っていくうち、陽もだいぶ低くなってきた。

雪こそ見えなくなってきたが相変わらず淋しい山道だ。

道路脇に、珍しく小さな集落があったので目をやると、ゲッ!街の門に首をつられた人間が!!

でもよく見ると人形。 そこはゴーストタウンだった。立ち並ぶ家々も朽ち果てている。

ちょっと立ち寄って見たい気もしたが、淋しい夕陽の逢魔が時では、そんな勇気の湧きようも無かった。

この日は結局、夜11時頃になってやっと、ブルームフィールドという街にたどり着き、スーパー8モーテルに宿泊した。

夕食も取りそびれ、前日サンタフェで食べきれずテイクアウトした冷えたリブステーキを分け合って食べた。

それでもビールだけはしこたま買いだめしてあるので、酔っぱらって旅の話に花が咲けば、空腹もなんのそのである。

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