10.フォーコーナーと田舎町
   (メサベルデ、モニュメントバレー)
この日最初に立ち寄ったのはデュランゴという街。

針葉樹の深い緑をまとう山に囲まれた、落ち着いた雰囲気の街だ。

汽車の停まるノスタルジックな駅があり、ここから汽車に乗る観光ツアーが出ているようだ。

その他にも、ラフティングなどアウトドア系の遊びが沢山あるようだ。

こういう街に滞在して自然の中で過ごすのも良い休暇かもしれない。

旅程が押している私たちは朝食だけ取り先を急いだ。

次に立ち寄ったのはマンコスという街。

ウエスタンスタイルの古風な街並みの小さな街だ。

この街で見つけた”BountyHunter”というテイラーは、すばらしい品揃えの店だった。

店の奥には作業台が並び、ウエスタンブーツや帽子、洋服が広い店内にゆったりディスプレイされている。

けばけばしい仮装まがいのウエスタンスタイルではなく、どれも実用に耐えうる一流品といった感じだ。

特に、ブーツと帽子の質の良さには目を見張るものがあった。

再び訪れる事も無さそうな街なので、是非ひとつ買っておきたかったが、残念ながら貧乏旅行者に手の出せる代物ではなかった。

マンコスには馬具屋もあり、店内ではおじさんが二人、黙々と馬の鞍をつくっていた。

私たちが店に入ってもちらりと目をやったきりだ。

愛想は無いが、頑固一徹の職人気質なのだろう。

仕事に打ち込む職人さんの大きな背中に開拓時代の面影を見た様な気がした。





アナサジの断崖住居



ヘボ・ドライバーのおかげで危機一髪

マンコスを出るとすぐに、メサベルデ国立公園への標識が現れる。

公園の入り口で、車1台につき$5の入園料を払い山を登っていく。

標高が高いため途中雪がちらつき、5月というのにかなり寒い。

メサベルデはアメリカの国立公園では唯一遺跡を中心とする公園で、ユネスコの世界遺産にも登録されている。

今からおよそ1400年前にアナサジという先住民族が住んでいたとされる、断崖の途中にある住居跡だ。

テレビや写真で何度も見ていても、実際に目にするとさすがに畏怖に打たれる。
キバも修復されていて、中にはいることが出来る。

断崖住居に向かう山道では、周りに茂る草木から心地よい芳香がだだよってくる。

見覚えのある葉を見てみると、タオスのプエブロでお香として焚かれていたものと同じだった。

アナサジの人々も遠い昔、同じ草の香りを楽しんだのだろうか。

メサベルデをあとにし山を下る途中、ドライバーをアイちゃんに交代した。

しかし、交代したとたん、長く大きな下り坂のカーブを曲がりきれなくなり、蛇行し崖から落ちそうになった。

みんな肝を冷やし、わずか1分でアイちゃんは運転席からおろされ2度とハンドルをにぎるチャンスは無かった。

本人は「こんなところで死ねたらみんな本望だ。」とうそぶいていたが、自分自身もかなり肝を冷やしたらしい。
     
       フォーコーナーズではみんな記念撮影        露店で売られている美味しいインディアン料理
メサベルデを後にしUS160を走っていくと、フォーコーナーズへ差し掛かる。

アメリカでは週の境が比較的単純に区切られているが、フォーコーナーズはその中でも唯一、4州の境界線が十字に交わっている場所だ。

モニュメントがあるので立ち寄ってみた。入場料は車1台につき$2。

モニュメントの周りにはインディアンジュエリーやおみやげを売る露店が並んでいる。

ここに立ち寄っている観光客は意外に多く、皆、モニュメントで記念撮影をしている。

私たちも、コロラド、ユタ、アリゾナ、ニューメキシコの4州をまたぎ記念撮影をした。

真っ赤な世界の中で、私たちはとってもちっぽけだ。
乾いた風が心地よい。
フォーコーナーズからさらに西に走り続けると、砂漠の色が赤く変わり始め、奇怪な形の岩山が見えてくる。

モニュメントバレー国立公園はナバホ・インディアン居留地内にあり、ナバホ族の人々により管理・運営されている。

入園してすぐのビジターセンターに立ち寄るだけでも、すばらしい風景を目にすることが出来るが、園内のダートコースに車を乗り入れ、神々しい岩がそそり立つ真っ赤な世界に囲まれる体験はまた格別だ。

西部劇などでおなじみの風景ではあるが、実際に目にする風景は360度の大パノラマだ。

いかにすばらしい映画でも、四角く切り取られたスクリーンでは味わえない迫力に無口になる。

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